2024.3.21
前へ
次へ
ホームページトップへ戻る

トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


[第434回]



●結局、駄目でした

プリント基板ができてきましたのでさっそく「TR74」基板を使って懸案の新バイナリカウンタ回路の動作テストを行ないました。
下は「TR74」試作基板の写真です。


部品を実装しました。

「TR74」基板は1枚の基板に同じD型FFを2回路配置しています。
右側の1回路は[第432回]で考えたエッジパルス発生回路をテストするために一部の部品の取り付けを変更しています。
最初に左側の回路(エッジパルス発生回路はインバータ×2+NAND)で動作を確認し一部補正が必要だったもののまずは正常に動作することを確認しました。
続いて右側の回路(エッジパルス発生回路はTR×2)も期待した通りに動作することが確認できました。
よしよし。
これでいこう。

それでめでたし、めでたしになるところだったのですが。
念のためにということで。
入力クロックを1段低い500KHzにしてみました。
今まではずっと2MHzと1MHzでテストをしてきました。
それだけ速いクロックでも正しく動作することになればそれより低いクロックならなおさら安心だろうという考えからです。
ところが。
全く予想もしていなかったことが起きてしまいました。

なんと。
500KHzの入力クロックでRSフリップフロップがラッチしてくれません。
そんなばかな。
右側の回路だけではありません。
左側の回路でも同じです。
500KHzだけではありません。
250KHzでも、125KHzでも同じです。
そんな、ばかなー。

ひょっとするとQ_出力の先のRC回路の遅延が大きすぎる??
いやいや、その考えは逆でしょう。
どう考えても入力クロックが低ければ安全サイドに働くはず。
もう。
パニックであります。
自分でも何をやっているのかわかりません状態です。
Q_出力の先のRC回路の56pFを外してテストしてみました(それは考えが逆だってば)。

ところが。
ぬあんと。
コンデンサを外したにもかかわらず(B)点([第415回]参照)の波形は弧を描いてゆっくり上昇しているのです!
このときのRは4.7KΩです。
今はもうこの回路を使うことは断念してしまいましたから、あらためて波形の写真は撮りませんでしたが200nsは遅延する波形でした。
それを時定数と考えて浮遊容量を逆算してみると200/4.7≒43pFになります。
浮遊容量としては大きすぎる!
あ。
まさか。
トランジスタのベースにつけているスピードアップコンデンサ?
2SA1015と2SC1815に各22pFで合わせて44pF!
うむ。
いや。
まさかねえ。

まさかとは思いましたが。
念のためです。
TR04基板を使って下の図のテストをしてみました。

TR04に4.7KΩの抵抗を介してクロックを入力してその入力部(図の矢印(A)点)の波形をオシロで観測してみました。
TR04のプルアップ抵抗は外してあります。
すると。
まさかの結果になりました。


上側(CH1)は入力クロック(500KHz)です。
下側(CH2)は(A)点の波形です。

このときのTR04(インバータ)の出力波形も確認してみました。

下側(CH2)はTR04(インバータ)の出力波形です。

思ってもみなかったまさかの結果でありました。
写真には撮りませんでしたがこの結果は入力クロックが500KHzだからではなくて1MHzでも2MHzでも同じでした。

が。
しかし。
(B)点が遅延してもそれは当初から狙っていた結果なので、それでRSフリップフロップがラッチしないということにはならないのでは…。
あ。
ひょっとしたら。
このことは(C)点([第415回]参照)でも同じか!
そういうことだとすると。
この問題の処理はかなり面倒です。
そういえば。
思い出したことがあります。
何年か前にコンデンサ回路にパルスを入力してその充放電時間から回路のある値を測定するという作業を行なったことがあります。
すると計算値と測定値に微妙なずれが発生して、しかもそれが入力パルスの周期に連動して変化するという不思議な現象を経験しました。
どうもコンデンサには得体の知れないところがあるようです。

じつは。
しばらく前からRCの値に依存する回路にはいささか不安を感じてはおりました。
なんとなく、大丈夫かなあという気持ちです。

ここへきてこういう結果が出たからには。
いささか残念ではありますが。
ここしばらくの間検討してきました「新」バイナリカウンタ回路案は破棄いたします。
残念!

トランジスタでCPUをつくろう![第434回]
2024.3.21upload

前へ
次へ
ホームページトップへ戻る