パソコンをつくろう!(パソコン自作のすすめ)
組み立てキットを使って自作に挑戦!
[第377回]
●SSDは信用できませぬ
ここしばらくの間というものネットワークの不調に悩まされてきました。
不調と言うよりもはっきり言えば怪現象であります。
なんじゃこりゃというような怪しげな事象が次から次へと現れてきてさんざ振り回されてしまいました。
振り返ってみますとその原因はひとつではなくて複数の原因がほぼ同時に重なって発生したために怪奇現象になったのだと思います。
その根源にあったのが今回のテーマ、SSDです。
幽霊の正体見たり枯尾花。
なんて情緒のあるお話ではなくてとんでもないことでありました。
お話は4日前に遡ります。
ええ。
前回の更新の日です。
その少し前からいつも主として作業に使っております愛機Windows7号がどうもなんとなくおかしいのです。
どこがというのではなくてこれは肌で感じる感覚とでもいいましょうか、どうもおかしい。
今までとどこかが違っていてなんとなく変です。
Windows7はもう20年以上ほぼ毎日ずっと使ってきました。
その間ハードがついにダウンしてマザーボードを取り替えましたがOSは当初のWindows7のままです。
ハードディスクはそれよりも多い頻度で取り替えましたからSSDに交換する前までは何代目かになりましたが3.5インチハードディスクです。
それまでずっと3.5インチハードディスクを使ってきました。
ここ数日感じた違和感は今までに感じたことのないものです。
確かにSSDに交換してからは起動は格段に速くなりました。
またFirefoxなどのブラウザやThunderbirdが開くのも速くなりました。
が。
ときとしてなんとなくぬるっと立ち上がったりハングアップするような場合が出てきました。
普通のフォルダを開くのでもなんだか異常に思うような遅さのときもあります。
その中でのネットワークの怪現象です。
前回のidstore.setもたまたまWindows11とのからみであれこれいじくり倒したことが原因だった可能性もありますけれど、そんなものが突然ネットワークの障害になってしまったというのもどうもおかしいように思えます。
決定的にSSDを疑うようになったのは突然Windows7のフォルダがおかしくなってしまったからです。
あるフォルダから別のフォルダにファイルをコピーするなんていう作業は日常頻繁に行なう作業です。
それがおかしくなってしまいました。
コピーしたのにコピー先にそのファイルが表示されません。
あれ?と思ってもう一度コピーすると「そのファイルは既に存在します」との表示が。
でもエクスプローラで見てもそのファイルはありません。
むむ。面妖な。
さてはまやかしか?
で。
「最新の情報に更新」をクリックするとそのファイルが表示されるようになります。
面妖な。
ひょっとして原因はSSDにあるのでは?
思い起こせば何年か前に私の友人がパソコンを買い換えたらHDDではなくてSSDになっていてアクセスが速くなったと言って喜んでいたことがありました。
それに対しての私のコメントはといいますと。
「んなもの。使う気にならん。そいつはきっと曲者じゃ」
SSDはどうも胡散臭いにおいがすると思って使わなかったのですけれど今回Windows11やらLinuxやらの動作テストをするにあたって中古で手に入れたWindows11(3.5インチHDD内蔵)の余りの遅さに閉口してSSDに取り替えたところ起動が格段に速くなったことに幻惑されてつい我が愛機Windows7号もSSDに換装してしまったのでありました。
まさに誘惑の甘い罠でありました。
そもSSDとはなにものぞ。
その実体はフラッシュメモリであります。
そはなんぞや。
一口で言ってしまえばメモリを構成するトランジスタに「ムリヤリ」電子を閉じ込めることで空の状態(1)を(0)にしてしまおうというとんでもない技術なのであります。
この「ムリヤリ」というところが問題で原理としてはUVEPROM(紫外線消去型ROM)とかEEPROM(電気的消去型ROM)とかと同じ範疇に入るROMです。
電子を封入するのに高電圧をかけます。
たとえば初期のUVEPROMでは+26Vなんて恐ろしい電圧をかけました。
フラッシュメモリも高電圧を必要とするところは同じなのですが近年は技術の工夫によって6V程度まで下がってきているようです(境界にある膜を薄くしているのでは?)。
ムリムリですからだんだんと壊れていっちゃうんですねえ。
そこはUVEPROMでも同じなのですけどこちらはそこんところが頑丈にできていますから書き換え消去回数は数十万回とか。
いやいや。
普通ROMはそんなに書き換えたりしませんよねえ。
それだけ信頼できるチップなわけで。
それがフラッシュメモリになると数万回程度と言われているようで。
しかも高密度で柔(やわ)ときています。
なんだかメモリセルが壊れていって書き換え不能になるセルが出てくるのだそうです。
そこは回路の工夫で代替セルを使う仕組みがあるのだそうですがそれにも限度があるために代替セルも消費し尽くすとご臨終なのだそうで。
SSDの寿命は数年程度といわれています。
それも予兆無くある日突然ポックリいってしまうのだそうですね。
おお怖。
なのでそうならない前に早いとこ交換しましょうということのようです。
あれ。
私はそれを中古で買ってしまいました。
でもCrystalDiskinfoで確認してみましたら。

SAMSUNGの480GBです。
使用時間は483時間です。
1日8時間使ったとしてもわずか60日です。
うーん。
電源投入回数が178回。
それでもわずか半年でしょう。
大丈夫だと思いますよね。
それが大丈夫じゃなかったのですよお。
意を決して再び3.5インチHDDに換装しましたところ。
今までさんざ悩まされてきた異常現象が嘘のようにすっかり消えてしまいました。
SSDよ。
お前だったのか。
まあ単純に比較はできないと思いますけれど。
PIC18F14K50のDataSheetからの引用です。

[出典]Microchip Technology Inc. PIC18F1XK50/〜DataSheet
PIC18F14K50は(比較的)高速大容量のProgram Memoryと小容量データ用EEPROMを内蔵しています。
その両方ともFlash cellを使っているとのことですがその書き換え回数には大きな開きがあります。
Program Memoryは1000回なのに対してEEPROMはなんと10万回です。
おそらく構造に違いがあるのでしょう。
機能や構造からしてSSDは前者に似ているものでありましょう。
SSDの場合数年は大丈夫だとメーカーは言っているようでありますが。
ほんとうか?
事実この私自身がその怪しげなところを体験してしまいました。
ネットで検索してみますと突然壊れたという怨嗟の声などがそこそこ見られます。
おお。
ネットワーク管理者がなんでもシステムの更新をしたところアクセスできないコンピュータが出てきてどうしても解決できなくてそれでホストマシンのSSDを新品に換えたら問題がクリアできたなんてお話が書いてありました。
そうでしょう。そうでしょう。
比較的信頼できるというUVEPROMでも一部のビットが書き換えできないとか読み出すたびに値が変化してしまうなどという不良はもう何回も体験しています。
Windowsなんて起動するたびにウラでそれこそ何百回となく色々なシステムデータを書き換えているんじゃありませんか?
SSDの場合書き換えのときに不良セルがあれば代替セルを使うことになっているはずですけれど。
しかしもしも書き換えのときにはうまくいったのだけれどそれを読み出したときにあるビットが本来0のはずのところが1になってしまったなんてことがあるのではありませんか?
過去の長い経験でUVEPROMでは何回も遭遇しています。
いやいやいや。
そんなことはメーカーなら十分承知しているはず。
でしょうかねえ。
一番信用できないのがMicrosoftなんじゃありませんか。
この一年25H2の更新の度にトラブルの声がネット上に溢れていたのは記憶に新しいところです。
24H2はもっとひどかったのだそうで。
MicrosoftはそうだとしてもSSDのメーカーはそんなことはないだろうって?
そうでしょうかねえ。
ま。
確たる根拠はありませんから憶測でものを言うのはやめますけれど。
あとは読者諸賢のご判断であります。
かくて私の愛機Windows7号はおよそ3週間ぶりにSSDからもとのHDDに戻りました。
確かに起動はSSDに比べて遅くなりましたけれど。
何十分も待たされるわけじゃなし。
朝のコーヒーを入れている間にしっかり立ち上がってくれます。
何より安心感があります。
そんなに一分一秒を争うこたあないじゃありませんか。
ゆっくりいきましょうよ。
パソコンをつくろう![第377回]
2025.12.24upload
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