パソコンをつくろう!(パソコン自作のすすめ)
組み立てキットを使って自作に挑戦!
当記事は2010年9月から「TTLでCPUをつくろう!」というタイトルの もとにほとんど毎日連載をしてきたものを再編集したものです。 |
2011.6.17 前へ 次へ 目次へ戻る ホームページトップへ戻る |
☆プロローグ 中日電工代表者である私(菱田)がWindows7に出会い、ながらく休止していたパソコン組立キットを再び企画するに至ったいきさつを書いています。 なぜメーカー品のパソコンではだめなのか。メーカー品のパソコンのどこが問題なのか。 どうして組立キットなのか。 既存のパソコン組立キットのどこが問題なのか。 そういう辺りがテーマになっています。 |
[第37回]
●メーカー製のパソコンは果たして買いか?
前回は、中日電工が仕入れて私の知人の税理士さんに納めたNEC製のWindowsXPパソコンの1台が突然起動できなくなってしまったことの顛末について書きました。
年末が近付いてきて大忙しの税理士さんにとって、突然の災難で、しかも大切なお客様のデータのバックアップを取ってなかったものですから、真っ青の緊急事態です。
パソコンそのもののリカバリよりもなによりもハードディスクのデータを救出しなければなりません。
ケースを開けてハードディスクを外して、私のパソコンに接続すればデータを取り出せるはずなのですが、NECのパソコンはそれまでさわったことがなかったものですから、ケースの開け方がわかりません。
そこで恥をしのんでNECの技術サポートに電話をしまして、「ケースの開け方を教えて」と頼んだのですが、「お教えできません」と断られてしまいました。
そりゃあそんなことを聞くほうが悪いのですよね。
教えてくれるわけがない、とも思いつつ、そこはそれ某外国メーカーと違って、なんたって国産の老舗のNECですから、事情を話したらわかってくれるかも、と思ったのですけれど、やっぱり聞くだけ無駄でした。
教えてくれないからといって逆切れした私が悪い。
悪いのですけれど、そこはそれ、人情というものがあるのじゃありませんか?
ええ。
わたしゃむかしにんげんですから、そう考えてしまいます。
話せばわかる。(でも、わかってくださいませんでした)
まあ、メーカーにしてみれば。なんたって精密機器。シロートに勝手に開けられたらたまったものじゃありません。
それはその通りです。
ですけれど、しかし。
今回の一件を通じて、
あれえ?
と考えさせられてしまいました。
そういうことだといたしますと、メーカー製のパソコンをお持ちの皆様。
いったいハードディスクのバックアップはどのようにお考えでしょうか?
なに。データのバックアップなど、別にたいしたことでもなんでもないのですよ。
必要なら外付けのハードディスクでもMOでもあるいはDVD、CDROMにでも保存しておけばよいのですから。
問題はシステム丸ごとのバックアップです。
まんいちWindowsが起動しなくなったらどうします?
リカバリCDROMでリカバリします?
それでリカバリできない事例はごまんとあるのです。
リカバリ?
そもそもこの語句の意味するところは非常にあいまいです。
まあ、ユーザーの期待するところとしましては、データファイルなどを消滅させることなく、Windsowsを正常だったもとの状態に戻していただいたいと。
そんなことができますならば、だれも苦労はいたしません。
ちなみに、今回のNECのパソコン(機種は書きませんけれど)。
説明書を見ますと、今回のような場合には、OSの再セットアップが必要、とあります。
注意。OSの再セットアップをすると、ハードディスク内のデータは全て失われます。
おお。クリーンインストールですな。データが全部消えちゃったら、そりゃあ困るでしょうよ。
んでも、それしか方法がない(方法はありますけど)とするならば、そうするより仕方がありません。
つまり、最初からもう一度OSをセットアップすることになります。
(嗚呼。この時点で多くのユーザーは早くも無条件降伏をなさってしまいます)
もちろん果敢なユーザーはOSの再セットアップに挑戦いたします。
経験を積んだユーザーでしたならば、データについてはコピーツールなどを使って事前に救出しておきます(これをしても問題は残ります。後述)。
ああしかし、そのようにして、OSのセットアップには成功したとしましても、それまでに苦労していろいろインストールしたもろもろのアプリケーションは全部もう一度最初から入れ直しです。
それは多分、無理でしょうねえ。
ですからそのためにはシステム丸ごとのバックアップしかほかに手はありません。
そのこと自体は外付けのハードディスクにでもバックアップしておくことはできます。
しかし。復元は?
起動しなくなったから、といって、そのハードディスクにいきなり上からおっかぶせて復元するのですか?
復元に失敗したら、こんどはそのハードディスクにおそらく残っているはずのもろもろのデータファイルも読み出せなくなってしまうかも知れません。
私は怖くてそんなことはとてもできません。
そもそもWindowsが起動しなくなったというのは、システムにとんでもない異常が発生したということです(ま、よくある話なのですけれど)。
その異常が発生してしまったハードディスクに上から何かを書き込んだりしたら、それこそ何が起きるかわかったものじゃありません。
せめてもとのデータファイルを救出するまでは何も書き込まないようにすべきです。
では、どうするか?
今回私がやったように、そのハードディスクを取り外して…。
ああ。そうか。
今、思いつきました。
そうか。たとえばMaxblast 5のCDROM版を使って、ハードディスクの丸ごとコピーを外部に接続した外付けハードディスクにCOPYしてしまってから、それからあらためてそのハードディスクにバックアップしておいたシステムコピーから復元すればよいのですよね。
理屈は確かにそうなのですけれどねえ。
やっぱり、それは相当にヤバいのですよ。
論より証拠。
実例をお見せしましょう。
これはWindows98が起動しなくなってしまったハードディスクを丸ごとバックアップして作った圧縮ファイルをエクスプローラで開いているところです。
ちょいと余談ですが、Maxblast 5をインストールすると、エクスプローラにその機能が加わります。
Maxblast 5を起動して、ファイルの復元作業をしなくても、バックアップファイルをクリックすると、図のようにその場で復元してフォルダやファイルを参照することができます。
これはもともとはAcronisのTrue Imageの機能のようですが、しかしこれはとても便利な機能です。
それはともかく。
画面上のツールバーの表示窓にありますように、バックアップしたファイルを解凍して、その中のWindowsフォルダを開いたところです。
ええ。
Windowsフォルダです。
これだけしかありません。なんだか様子が変です。
こちらはそのWindows98が起動しなくなったハードディスクを直接Windows7パソコンに接続してWindowsフォルダを開いてみたところです。
Windowsフォルダにはこんなにたくさんのフォルダがあったのです。
よく見ると一番上のフォルダが壊れているようです。
さきほどのバックアップファイルからの復元では、これだけたくさんあったフォルダのうち、わずかにBJPDRVフォルダしか保存されていません。
これは怖いことです。
ええ。
もちろんバックアップファイルのベリファイはしました。
でも、こういう場合にはベリファイをしてもフォルダやファイルの欠落まではわかりません。
もしもこのことに気が付かず、現在のハードディスクの中身を完全にコピーしたつもりになって、そのハードディスクを消して、その上からOSの再セットアップをしてしまったら…。
欠落したフォルダやファイルの中身は完全に消滅してしまいます。
前回、私が友人のパソコンをリカバリするのに、もとのハードディスクは取り外して保存したうえで、わざわざ新しいハードディスクを用意して、そこにWindowsXPを再インストールしたのは、こういうことがあることを以前から認識していたからなのです。
もちろん、もとのハードディスクがクラッシュして使い物にならなくなってしまう、というような事故に遭遇することもあるでしょう。
その場合ならなおのこと、いずれにしても、ハードディスクの交換、という作業は避けては通れないことだと私は思います。
もうおわかりのことと思います。
ハードディスクの交換はいずれ行なわなければならないときが来る、という覚悟はしておくべきです。
しかしながら、当然のこととして、メーカーは勝手にケースを開けるな、とおっしゃいます。
勝手にハードディスクを交換などして、そのあと何かトラブルがあっても、当社は一切関知しないからそのつもりで。やれるものならやってごらんなさいよ、ということなのでしょうかねえ。
ま。確かに。シロートとしては勝手にケースを開けたりするのも怖いから。
じゃあ、ハードディスクを交換してよ。
とメーカーなり販売店なりに依頼するのが穏当な選択でありましょう。
ああ。しかし。
いったいそれで幾らかかるの?
試しに皆様。カスタマサポートに聞いてみられたらいかがでしょう。
きっと、ひぇぇっ、と絶句してしまうのではありませんか。
あ。ネットで検索してみましたよ。
うわあ。こんなんですよお→http://121ware.com/navigate/support/repair/guide/expense/index.html
そんなこと言ったって、そりゃあ、仕方がないんじゃないの?
だってシロートなんだから。
そりゃあそう思うのも無理はありません。
かく言う私自身もずっと昔はそのように思っていましたから。
私自身は今までずっと書いてきましたように、もとはNECのTK−80コンパチのボードを自分で作って販売するところから始まって、「トランジスタ技術」誌に「つくるパーソナルコンピュータ」なる連載記事まで書いたくらいで、自分でもPC8001クラスのオリジナルボードを開発して販売もしておりました。
しかし、16ビットマシンとなると、それはちょっとどうにかなるものではありませんから、業務用にはNECのPC9801を何台か購入して使っておりました。
当時のパソコンは自分でケースを開けてボードを増設したりするのが当たり前でしたから、そりゃあケースも開けたりしましたけれど、それは必要に応じて、PC9801だったからの話です。
その後にDOS/Vマシンなるものが登場し、これはNECではなくて他のメーカーの確かWindows3.1だったと思いますが、それを購入しました。
これは中を開けるなど考えてもみませんでしたし、そういうことのできる代物とは考えていませんでした。
たまたま取引先の人と雑談をしていましたら、なんと、Windows95パソコンを自作したんだよ、という話を聞かされました。
へえっ。自分で作れるの?パソコンを?
これは衝撃的でありました。いうならばちょいとしたカルチャーショックでした。
うん。そんなの簡単だよ。ハンダゴテも使わないし、ドライバ1本でボードやドライブユニットを組み付けて、あとはケーブルを接続するだけなんだから。ま。Windows95のインストールはちょっとホネだけどね。
さっそく当地名古屋の中区大須へでかけていきまして、なにしろはじめてで何もわかりませんから、店員をつかまえてあれこれしつこく質問しながら、パーツを買い集めました。
当時のパーツ店の店員は上から目線のところがありまして、シロートがこんなところへ来るなよお。あんた。そんなことも知らないの?という感じのところがありまして、なかなかに苦労いたしました。
確かにわからないことだらけでしたけれど、それにWindows95ときたら、ドライバのセットアップでこける、途中でハングアップはする、あれやこれやでなかなかにホネではありましたけれど、ともかく組み上げて、Windows95のインストールも済んで、はじめてインターネットの接続に成功したときの感激は、そりゃあもう格別のものでありました。
そういう経験をして、ふと考えてみますと。
あれえ。
パソコンって、この程度のものだったんだ。
こんなもの、メーカーから買わなくたって、自分で作れるじゃないの。
ということを実感いたしました。
そう。
メーカーから買ったりするから、ケースを開けられないし、自分でハードディスクの交換をするなど思いもよらない、ということになるのでありましょうが、はなっから自分で組み立てたのでありましたなら、そんなの自分でするのが当たり前、人に頼むのがおかしいよ、ということになります。
CPUをつくろう!第678回(2010.12.3upload)を再編集
パソコンをつくろう![第37回]
2011.6.17upload
2011.6.18再編集
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