[プチ連載です]
Legacy8080用オプションボードの製作
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葛Z術少年出版様からLegacy8080用のオプションボード製作の依頼を受けました。
そのボードには電流制限素子(ポリスイッチ)をつけることになりました。
そこで…。
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[第19回]
●TTA008Aを使う
[第12回]に書きましたように、2SA1015の代わりに2SA1020を使えば500mAほども流せるはず、と考えたのが大間違いでコレクタ損失を全く考えていませんでした。
出力5Vのときに出力回路がショートして500mA流れたとすると、そのときのエミッタコレクタ間電圧はほぼ5Vですからコレクタ損失は2.5Wになります。
2SA1020のコレクタ損失の絶対最大定格は900mWですから、とてもとても500mAは流せません。
ということでせっかくの2SA1020ですが、制限電流はせいぜい200mAが限界という結論になってしまいました。
それは仕方がないことなのですが、そのままではどうも面白くないのですよね。
せっかくここまで考えてきて、たった200mAしか流せないというのは実に残念至極であります。
むむ。
まてよ。
500mAとか1Aとかを流せるトランジスタがあるはず。
おお。
そうだった。
大容量トランジスタに放熱板をつけて使うという手があったではないか。
しかし。
そういうトランジスタは概してコレクタの飽和電圧が大きかったりして。
捜してみましたら、おあつらえ向きのトランジスタがみつかりました。
東芝のTTA008Aです。
[出典]鞄月ナ TTA008Bデータシート
コレクタ損失の絶対最大定格はなんと10W(Tc=25℃)!
Tc=25℃というのは放熱板をつけてパッケージの表面温度を25℃に保った場合の最大定格です。
おお。
コレクタ電流は2A。
なんと、十分過ぎまする。
それで、飽和電圧は?
[出典]鞄月ナ TTA008Bデータシート
コレクタエミッタ間飽和電圧はIc=0.5Aのとき最大0.3Vですと!
つまり0.5Aを流したときにドロップする電圧が最大0.3Vということです。
おお。
さすが東芝様!
すごいじゃありませんか。
さっそく入手して取り付けてみました。
基板を傾けて斜めから見たところです。
放熱板を取り付けることを考慮せずに作ったプリント基板なので、普通に取り付けると放熱板に電解コンデンサが接触してしまいます。
なのでTTA008B+放熱板をできるだけ浮かせて基板に取り付けて、放熱板に電解コンデンサが接触しないようにします。
こちらは上から見た写真です。
今回は当初の設計通り1Ωの抵抗を3本並列にしています。
電源の逆接続防止用ダイオードを基板裏に取り付けました。
それでは試運転です。
負荷として出力部に33Ωの抵抗を2本並列につないでみました。
合成抵抗は16.5Ωです。
このとき流れる電流値を計算すると
5/16.5≒0.3A
です。
電流計はおおよそ300mAのところを指しています。
メーター部分を拡大しました。
1Ω3本(=0.33Ω)の両端電圧は106mVです。
0.3×0.33=0.099ですから、概ね計算通りの値です。
出力電圧は右のパネルメータで見ると、5Vのちょい下あたりを指しています。
今度は出力をショートしました。
500mAのメーターが振り切れています。
1Aのメーターに交換しました。
出力電流は550mAくらいです。
メーター部分を拡大しました。
1Ω3本(≒0.33Ω)の両端電圧は209mVです。
このときLM358の出力電圧はその3倍の約0.63Vになって、そこで電流制限回路がONになります。
電流制限回路がONになっていることを示すLEDが点灯しています。
やっとこれで納得できるものになりました。
めでたしめでたしです。
[2016.8.11追記]
写真の撮り方が悪くてメーターの指針が見にくかったので写真を撮り直しました。
写真を差し替えるついでに、メーター部分の拡大写真を追加しました。
Legacy8080用オプションボードの製作[第19回]
2016.8.10upload
2016.8.11追記
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