2013.1.1
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復活!CP/M ワンボードマイコンでCP/Mを!
CP/MがTK−80互換のワンボードマイコンの上で復活します
ND80ZVとMYCPU80の上でCP/Mが走ります

[第281回]


●IMSAI8080が映画WARGAMESに「出演」していました

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて。
元日早々から、前回の続きを…というのもいささか野暮なことでありますから、本日はちょっと趣きを変えましてこんな話題をとりあげてみたいと思います。

すでに何回か書いておりますように、Y様の企画立案によりスタートしましたE−80(仮称)ミニコン開発プロジェクトは草創期の8ビットミニコンIMSAI8080がモデルになっております。
不勉強にして私はIMSAI8080についてほとんど知りませんでした。
そこでインターネットを検索してIMSAI8080についての情報を収集しておりましたところ、なんとIMSAI8080が映画WarGamesで小道具として使われていた、という記事にぶつかりました。

WarGames?
おお。
そうだったのか。いやあ、それは知らなかったなあ。
つうことは、あのハッカー少年のコンピュータだな。

WarGamesは1983年のMGM映画です。
私はその昔にレンタルビデオで見たのが最初でした。
余り面白かったものですから、後になってからレーザーディスク版があるのをみつけて買ってしまいました。
ええ。
もう何回も見ています。
今回もそれ(IMSAI8080が使われていたということ)を確かめるために久々に見たのですけれど、多忙だといいますのに、とうとうしっかり最後まで見てしまいました。
いやあ。
何回見ても面白いです。

お話も実によく出来ています。
ちょっといけないハッカー少年(高校生)が、新発売のビデオゲームを内緒でゲットしようとして、そのゲームメーカーのコンピュータへの侵入を企てます。
ところが彼が侵入してしまったのはなんと全米の核ミサイル基地を統括するNORAD(北米航空宇宙防衛司令部。これ実在の組織です)のコンピュータWOPRだったのです。
それとは知らない彼はそのコンピュータに組み込まれていたシミュレーションゲームプログラムGlobal Thermonuclear War(全面核戦争)をスタートさせてしまいます。


NORADの指令本部では、突然スクリーンに映ったソビエトの核ミサイル攻撃に大混乱に陥ります。
司令官は大統領に核ミサイルの全面報復攻撃を進言しようとするのでありますが…。

これ以上書きますとネタバレになってしまいますので書きません。
最初から最後まではらはらどきどきの連続です。
何回見ても飽きません。
興味がお有りのお方はこちら(YouTube)にWarGamesの予告編があります。

あ。
本題に戻ります。
ハッカー少年がNORADのコンピュータに侵入するのに使ったのがIMSAI8080です。

IMSAI8080のロゴが最後の80を除いてメモで隠されています。
IMSAIの継承者 Thomas "Todd" Fischer はこのシーンを見て”不当な扱い(a cheap shot)”だと評しています。
言外に「あんなに映画の製作に協力したのに…」という気持ちがこめられているようです。
実際IMSAI8080の公式ページを読みますと、彼および彼のメンバーがこの映画の製作に全面的に協力した様子が詳しく述べられています(上のリンクをクリックしてそのサイトにいくと突然WOPRの音声が流れてびっくりしますのでご注意を)。

フロッピーディスクドライブにははっきりとIMSAIのロゴがついているのが見えます。


ところでこれはなんでしょう?

なんとacoustic coupler(音響カプラー)です。
さすがにこの映画が公開された1983年当時でもこれはいかにも年代物で時代遅れです。
なんでもディレクターだか誰だかが、「これを使った方が視覚効果がある」と言ったとかで、あえてリアリティを無視したのだとか。
なんたってどうがんばってみても300ボーがせいぜいだそうですから、そんなもので国防省のコンピュータに侵入するのはムリがある、と思うのでありますが、そこはそれ現実ではなくて映画の世界のことです。
映画では現実そのものよりも作り物のほうがかえってリアリティがあるように感じてしまうことがよくあります。
確かに彼がこれを操作してコンピュータに接続するのを見ても別にそれほど違和感を感じないのがまた面白いところです。

また映画のお話に戻ってしまいますが。
主人公のハッカー少年が、軍のコンピュータ(彼はそれがゲーム開発会社のコンピュータだと信じています)に侵入する方法を知りたくて知り合いの大学生(ハッカーの大先輩か?)にその方法を聞くシーンがあります。

なんと30年も前なのに、もう裏口(back door)なんて言葉が使われていたのですね。

ところで彼の同級生役で登場するこの女の子(アリー・シーディ)はなかなかにキュートな女の子です。

この写真でも背景にはIMSAI8080が映っています。

突然バイクに乗って現れます。

日活映画「青い山脈」の吉永小百合を思い出してしまいました。

それにしましても、この広いキャンパスと開放的な雰囲気はとても高校とは思えません。
どう見ても大学です。
これが30年前の映画だというのですから、日本とアメリカの文化の違いをいやと言うほど痛感させられてしまいます。

彼我の文化の違いといいますと、こんなサイトに行き着いてしまいました。
WarGamesに出てくるNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が実在する組織であると書きました。
書くためにはそのウラを取らなければということで、NORADについて検索しましたら、なんと。
毎年クリスマスが近づいてくると、サンタをレーダーで追跡して、その現在位置をインターネットにリアルタイムでアップしておりますのが、このNORADなんだそうです。
サンタのそのサイトは知っておりましたが、その発信源がバリバリの軍の組織だったなんて、全然知りませんでしたし、それこそ想定外の驚きです。
これも日本じゃまず考えられませんでしょう。
日本でこんなことをした日にはそれこそ野党の集中砲火を浴びてしまいます。
「国防をなんと心得る。ふまじめにもほどがある。防衛大臣の即時罷免を求める!」なんてね。

ところがそもそもなぜNORADがそんなことをするようになったのか、という由来を読んでまたまたびっくりしてしまいました。
その昔あるデパートが「サンタに直接電話をかけよう」というキャンペーン広告をはったのだそうです。
ところがどういう手違いか、その広告に載せたサンタへの直通電話番号が間違っていたのだそうで。
なんとNORADの前身組織の司令官のホットラインだったのだそうですね(もうありえへんお話ですな)。
突然子供達からの電話を受けた司令官は、「あー。北極を出発したサンタを今わが軍のレーダーが追跡中であります」とかなんとかそんなような答えをしたんだそうですね。
それが評判になって、毎年軍がそれを継続するようになったのだそうです。
いやあ。
さすがはアメリカ。

詳細はNORADのこちらのサイトに詳しく書かれています。


またまたIMSAI8080のお話に戻ります。
本日はお正月でいささかアルコールも入っておりますので、もうあちこち脈絡も無く飛びまくりであります。
そもそものWarGamesとIMSAI8080との関わりを検索する中で訪れることとなりましたIMSAI公式サイトでありますが。
サイト内をあちこち読んでおりましたら(なかなかに大きなサイトです)、The IMSAI Series Two projectなるページが目に留まりました。
The IMSAI Series Two project?
なんじゃそりゃあ?

読んでみましたら…。
お。お。お。
まるでE−80(仮称)開発プロジェクトそっくりじゃありませんか。
うわあ。
しかもこちらは本家本元です。
これはやばい。

あ。
しかし、読んでみましたら。
プロトタイプも出来上がり、あと一息のところまでできているのだそうでありますが。
なんでも2005年にそこまでできてからは、どっちつかずの状態(went into limbo)でそのままになっているのだそうであります。
勢い込んで開発に着手したものの、ハードウェアとソフトウェアの連携がうまくいかなかったり、主要なパーツが生産中止で入手不能になったり、最初に開発を支えていた有能な個人が不可解な失踪を遂げたり(one talented individual who mysteriously disappeared )、そんなこんなで進んでないのだそうです。

うーん。
相当に苦しいようでありますねえ。

これがプロトタイプのフロントパネルのイメージです。

おお。
すごいじゃないですか。
IMSAI8080のそのまんま、といった感じです。

そしてこちらがその中身です。


えっ。
これはまた…。
うう。
どうやらケースの中にあるのはATXマザーボードのような…。
見たところマザーボードに載っているのは初期のPentiumらしきCPUか…。
その右にありますのは間違いなくATX350W電源です。
えっ。
そしてマザーボードの下側に見えるのはS−100バス?

いや。
それはないでしょう。
うう。
これは、また、なんという…。

なんでもソフトウェアの開発にも相当苦しんでいるようなのでありますが。
そりゃあそうでしょう。
いまどきATXマザーボードなんかに首をつっこんで独自ソフトの開発なんてやっていた日には、それこそ10年経っても終わりませんでしょう。
おそらく開発を進めるはなからどんどんハードウェアが変わっていってしまうことになると思います。
これはない、と思いますね。

第一あのスイッチパチパチは8ビットだから出来るので、それを16ビットや32ビットCPUでやろうというのがどだい無理な話だと思います。

ううう。
あわや本家と競合か、と新年早々肝を冷やしてしまいましたが、製品の中身が異なっていることがわかってほっといたしました。
それにしても。
さすが本家だけのことはあって、なかなかのエネルギーです。
これは開発費も相当かかったことでしょうねえ。

開発費が不足しているのだそうで寄付(donate)を募っていらっしゃいます。


そういえばそもそもIMSAI8080を開発した本家IMSは総計20000とも30000ともいわれる台数を売ったのだそうですけれど、結局経営不振で倒産してしまったのだそうですねえ。
その権利を買ってIMSAIを継承しているのが現Thomas ”Todd” Ficher氏なのだそうで。

ううう。
CP/Mといい、IMSAI8080といい、栄枯盛衰は世のならいとはいいますものの、せっかく景気よく始まりましたのに、年頭からなんとなく気落ちしてしまいそうな雰囲気になってまいりましたですねえ。

明日は邪気を祓いにお伊勢さんにでも参ってこようかと思うておりますです。

ワンボードマイコンでCP/Mを![第281回]
2013.1.1upload

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