2021.5.2
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第347回]



●TR126最新回路

前回からの続きです。
前回も書きましたようにTR126回路はもう何回も作り直しています。
今度こそ最終回路だとは思うのですが(思いたいのですが)、とりあえずは控えめに「最新回路」ということにいたします。

回路の説明です。
TR126回路を変更するそもそものきっかけになったのは出力がハイインピーダンスになったときの逆電流に気が付いたことからでした。
それについては[第329回]で説明をしています。
そのとき説明のためにお見せした回路図です。

トランジスタの逆接続状態は出力がハイインピーダンスのときに必ずそうなるということではなくて、ある条件があります。
上の説明回路でいいますと、E入力がLになってトランジスタT1、T2のエミッタがVcc、GNDから切り離されていることが第一の条件です。
当然ベースエミッタ間には電流は流れませんから出力はOFF(ハイインピーダンス)になります。
しかしそのときに上図のように出力に負荷があって、かつベース電圧が十分に高いとベースからコレクタに逆電流が流れてしまいます(T2での説明です)。
そのときでもたまたまベース電圧がL電位であれば当然逆電流は流れません。
またベース電圧がLのときにコレクタ電圧がHだったとしても(2SC1815の場合)コレクタからベースへは電流は流れません。
しかしそもそも上の回路は出力をOFFにするために「ベース電圧に関係なく」エミッタ側をOFFにするという考えの回路ですから、もともとベース電圧をLに限定することには無理があります。

と。
そこまで考えてきたときに、頭の奥で何かがちらちらしはじめました。
うーん。
そこなんだよなあ。
ベースをLにしておくことができれば問題は解決するんだけどなあ。
お?
おおお。
あった!
それだ!
そして、突然ひらめいた回路です。

上の逆接続の説明回路と比較してみてください。
E入力回路がインバータ2段になっているのは逆接続とは別の問題をクリアするためです([第339回][第340回]参照)。
そこではなくて、どこをどのように変更しているかお分かりになりますでしょうか。

これはちょいとした「逆転の発想」です。
今までの回路では出力トランジスタT1とT2は当然のごとく出力に直結していました。
今回ひらめいた回路ではそこを上下に分離して、出力をOFFにするためのトランジスタT3、T4が出力に直結しています。
つまり旧回路に対してT1とT3、T2とT4の接続位置が逆になっています。
T1とT3、T2とT4の位置を入れ替えても基本的な動作には変わりはありません。
それではどこが変わるのかといいますと。
E入力がHのときにはT3、T4がONになりますから普通のバッファ出力動作になります。
これは今までの回路と同じです。
変わるのはE入力がLのときです。
このときT3とT4はともにOFFとなります。
したがって出力はハイインピーダンスになります。
えっ?
それじゃ今までと同じじゃないか?
逆接続…。

いえ。
今回はそこが違います。
今回の回路で出力がOFFになるのはE入力がLのときで、そのときT3のベースはHになり、T4のベースはLになるためともに逆電流は流れません。
そう。
今までとはそこが違うのです。

じゃあ、T1やT2は?
たとえばそのときA入力がLであればT2がONになってベースからエミッタに電流が流れます。
またA入力がHであればT1がONになってエミッタからベースに電流が流れます。
しかしともにコレクタはT3、T4によって出力回路から切り離されていますからコレクタには電流は流れません。
もちろん逆接続にはなりません。
思い出していただきたいのは、逆接続というのはエミッタが回路から切り離されているときにベースからコレクタに電流が流れる状態のことをいいます(2SC1815の場合)。
コレクタが切り離されているのはオープンコレクタ回路で、これはごく普通の回路の状態ですから逆接続ではありませんし逆電流も流れません。
しかし理屈は理屈、理論はあくまで理論です。
やはり実際にテストをして確認してみなければなりません。

次回に続きます。

トランジスタでCPUをつくろう![第347回]
2021.5.2upload

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