2021.3.8
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第315回]



●TR86の場合

プルアップ抵抗と青色LEDの抵抗を交換してTR00で試してみた結果、出力ショートはなくなりました。
それでは33mAも流れていたTR86([第309回])の場合はどうでしょうか。
変更前のTR00に比べて1.5倍以上も流れています。
TR86についてはその理由をまず考えてみる必要があります。
TR04基板を利用したテストとそのときの計算によって入力A点の電圧には2SC1815のベース電流が大きく関わっていることがわかりました([第311回])。
その2SC1815に注目してみると、TR86はそれ以外の回路とは異なっていることがわかります。
下はTR86の1ゲート分の回路図です。

TR86では入力に2つの2SC1815がつながっています。
入力AにはT2とT8が、入力BにはT4とT10がつながっています。
各トランジスタのベース抵抗に注目するとA、Bとも51KΩが並列になっています。
ということはベース抵抗は51KΩではなくて25.5KΩの計算になります。
ベース電流はTR00などの場合の倍流れることになります。
おそらくそれがTR00の倍以上の電流が流れた理由だと考えられます。

そういうことだとすると、TR00などのようにプルアップ抵抗を4.7KΩに交換しても十分ではないということになります。
理屈の上では4.7KΩの1/2、2.2KΩ程度にしなければならないことになります。
しかしやっぱり余り小さくはしたくありませんし、2.2KΩは赤色LEDのところで使っている22KΩと間違えてしまう可能性があります。
そこでもう少し大きい値として、3KΩにしてみることを考えてみます。
いままでと同様まずは計算でA点の電圧を求めてみます。
2SC1815のベース抵抗は51KΩ/2=25.5KΩとして計算しました。

i1+i2=(4.69−A)/3
i1=(A−2.52)/100
i2=(A−0.69)/25.5
上の式から
(A−2.52)/100+(A−0.69)/25.5=(4.69−A)/3
が得られます。
通分すると
76.5A−192.78+300A−207=11959.5−2550A
これを整理して
2926.5A=12359.28
A=4.223(V)

この値ならいけそうです。
TR86のプルアップ抵抗を10KΩから3KΩに、青色LEDの抵抗を22KΩから100Kに交換しました。


ロジック回路1回路分のところを拡大しました。

R11とR12を3KΩに、R13とR14を100KΩに交換しました。
シルク印刷のR11とR12の表記は間違っています([第309回]参照)。

抵抗を交換した後、基板全体の電流を測ってみました。

1.59mAです。
33mAから大幅に減少しました。

その代わりに入力が0のとき(GNDにつないだとき)には電流が増加します。

Vcc=4.69Vのときプルアップ抵抗1本あたり4.69/3≒1.56mAの電流が流れます。
基板全体では1.56×8=12.48mAになります。
これがTR86の最大電流です。

いままでのテストと同じように入力を00〜11にしてそのときの電流を測ってみました。

7.68mAです。
これが大体平均的な電流と考えてよいと思います。

トランジスタでCPUをつくろう![第315回]
2021.3.8upload

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