標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第433回]

HIDデバイス検出プログラムについての続きを書く予定だったのですが…。

●Z80版TK80の試作テストをしました

本日はちょっと予定を変更して、試作版についてのお話です。

じつは、ある学校様から特注品のご依頼をいただきました。
最初は、ワンボードマイコンND80Kで、というお話だったのですが、先生のご希望をお聞きしているうちに、それならいっそのこと、私が作ろうと考えている、Z80版TK80を作ってしまったほうが、先生がお考えになっている条件に合うのではないか、と思いましたので、そのようにご提案をさせていただきました。

本当は、当初から計画していた、私が考えているZ80版TK80(TK80クローンボード)をそのまま作って納入することができれば、私にとっては一番ありがたいのですけれど、残念ながら、ここのところずっと説明をしております、PICのUSB(HIDクラス)のプログラムがまだ未完成で、その完成を待っていては納期に間に合いません。
また、先生のご希望の機能が、私がスタンダードとして考えている機能とは、少し異なっていますので、いわばカスタムの仕様になります。

逆に考えれば、カスタム品ということならば、お客様のご希望通りの仕様で作ればよろしいので、そういうことならば、すぐにでも作ることができます(先生のご希望は、USBではなくて、普通のRS232C通信機能が欲しい、ということでした)。
あ。もちろん、ご希望の内容によっては、すぐに作るわけにはいかないものも当然出てくるわけですが、今回の仕様は幸いにして、RS232Cはもちろんのこと、その他においても、私の過去の「引き出し」に全て入っている内容でしたので、「それなら、先生、カスタムで作ってしまいますよ」というお話を申し上げて、それで、ご発注をいただきました。

世の中はよくしたもので、いずれ作るつもりでしたのに、USBでもたもたしていてなかなか取りかかれずにいましたら、なんだか背中を押されてしまったようです。
Z80については、それこそ目をつぶっていても扱える、ほどの自信はありましたけれど、ここ10年ほどは、ずっと川鉄のKL5C8012を使ってきましたので、ちょっとサビついてしまっているかもしれません。

手順としては、まずは試作基板を作って、それで動作の確認をしてから、本番製作を、という段取りになるところなのですけれど、今回は、TK80モニタをそのままのっける、というところをまずクリアしなければなりません。
創業以来ずっと長いこと、「TK80コンパチ」ということで、ワンボードマイコンを作ってきましたけれど、よくよく考えてみると、最初の8080CPUのND80を除いては、TK80に近い動作をさせてはいたものの、モニタプログラムそのものは、TK80のそれではなくて、当社が独自に開発してきたプログラムを使ってきました。

つまり、MYCPU80でやったような、「TK80モニタプログラムそのもので動作するZ80のワンボードマイコン」は、実は作ったことが無かった、のです。
当然、ハード回路も異なりますから、TK80モニタプログラムに合わせて、ハード回路を考えなければなりません。
そりゃあ、そのように考えて、さっそく回路は考えましたよ。
ですけれど、それはあくまで、紙の上での回路の話。
それで動くかどうかは、実際に回路を組んで、動かしてみないことにはわかりません。
そのための試作基板ですから、とりあえず考えた回路図にしたがって試作基板を作って、それで試してみればよいのですけれど、今回はちょっと納期に余裕がないので、試作基板ができるまでなにもしないで待っている、というわけにはいきません。

ともかく、まずは実際に作って、試してみるのが一番です。
というわけで、試作基板の前の「プレ試作版」を作ってしまいました。



CPU(Z80)と、ROM、RAM、82C55の部分は、当社のZ80汎用基板を利用しました。
7segmentLED表示回路と、5×5キーボード回路は、MYCPU80基板の「TK80回路」がそのまま利用できますから、MYCPU80の試作基板をその部分だけ切り取って使いました。
あ。もちろん、本番ではもっと大きいキースイッチを使います。今回は、いわば「廃物利用」です。
ご覧の通り、LED表示も、キー入力も、うまくいきました。

こちらは基板裏の配線の様子です。


CPUとROM、RAM部分の写真です。

CPUはZ80(東芝TMPZ84C00)です。ROMはMYCPU80キットのものをそのまま使いました。
I/Oアドレスなどごく一部の変更を除いて、オリジナルのTK80モニタプログラムと同じです。
モニタプログラムリストは[第241回]にあります。

●試作基板の作図が完了しました

「試作の前の試作」をして、動作の確認ができましたので、さっそく試作基板のアートワークに取りかかりました。
過去のZ80トレーニングボードは、TK80にこだわらず、独自に工夫したオリジナルの回路であったために、基板サイズもコンパクトにできていたのですが、TK80そのまま、ということにこだわると、結構大きな基板になってしまいます。

作図を完了したZ80版TK80の試作基板のアートワーク図です。

横230mm×縦180mmになりました。

2010.2.11upload

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