2016.7.5
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[プチ連載です]
Legacy8080用オプションボードの製作

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葛Z術少年出版様からLegacy8080用のオプションボード製作の依頼を受けました。
そのボードには電流制限素子(ポリスイッチ)をつけることになりました。
そこで…。
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[第4回]


●トランジスタ電流制限回路(1)

前回はポリスィッチの動作をテストしてみました。
小さな素子を1個電源回路に置くだけで電流の制限ができることが確認できました。
しかし応答時間がやや遅いという欠点もあります。
回路がショートしたような場合には数秒間ですが大きな電流が流れてしまいます。
その点はちょっとどうかな、という気もしますが、ま、しかし、ローコストで簡便な電流制限回路という点ではポリスイッチの右に出るものはありませんでしょう。
ということで、今回製作するPPI接続基板には当初の予定通りポリスイッチRXEF025(250mA(500mAで遮断))を使います。

これで今回のテーマについては終わりです。
そういうことなのですけれど。
とにかく超多忙にもかかわらず、また余計なことを思いついてしまいました。

うーん。
電流制限って、はるかな昔、確かトランジスタでそんな回路を組んだことがあったような…。
はて。
あれはどういう回路でしたっけ?

あー。
いえ、今回のPPI接続基板にそれを使おうという話ではありません。
それにはポリスイッチを使うということで、お話は済んでおります。
あくまで個人的な興味のお話です。

そういう意味では、今回のテーマのまま続けるというのはちょっと外れているのでありますが。
毎回内容によってテーマを変更するというのも面倒なことでありますから、このままお話を続けてしまいます。

思い出しました。
トランジスタを使った電流制限回路というのはこんな回路でした。

逆さにぶらさがっているトランジスタがキモです。
この回路はシリコントランジスタでなければだめです。
シリコントランジスタはベースエミッタ間の電圧が高く、0.6〜0.8V以上の電圧差が無いとONしません。
その性質をうまく利用した古典的回路です。
右側のトランジスタはいきなりON状態なので負荷がかかればそのまま電流が流れます。
すると電流の増加につれて4.7Ωの両端の電圧も増大します。
ここはもう少しきりの良い値の抵抗を使いたかったのですが、手頃な値の抵抗としてはこれしかなかったので、特にこの値でなければならないということではありません。
さてその4.7Ωの両端電圧が0.6V〜0.8Vになると、逆さになったトランジスタがONします。
すると右側のトランジスタのベース電位がエミッタよりも高くなってしまうため、右側のトランジスタがOFFになって電流が流れなくなってしまいます。
ということで、結局4.7Ω抵抗の両端電圧が0.6V〜0.8Vになる電流がこの回路に流れる最大電流になります。
その電流値を計算で求めると、
0.6/4.7=0.128(A)
になります。

さっそく上の回路を組んでテストをしてみました。

負荷として100Ωの抵抗を2本並列にしてつないでみました。
つまり負荷は50Ωです。
このときの回路の出力電圧は4.27Vで電流は約75mAでした。
4.27/50≒0.085(A)
ですから少し計算とは差がありますが、このくらいの値ですと電流計の誤差もあるでしょうし、抵抗も誤差がありますから、大体そんなものでしょう。

トランジスタ部分を拡大しました。


今度は負荷として前回も使いました1Ωの抵抗をつないでみました。

トランジスタ回路がなければ5Aも流れてしまいますから、3A電源では持ちませんし抵抗も焼けてしまいます。
しかしトランジスタの電流制限回路がしっかり効いているため、出力電流は125mAで止まっています。
出力電圧は完全に低下して0.3V程度しかありません。
4.7Ω抵抗の電圧降下分と合わせると約1Vです。
残りの4Vはトランジスタが熱にして逃がしていることになります。
4×0.125=0.5W
うーん。
2SA1015の最大定格は400mWですから、それを越えてしまっていますねえ。
ま。
ここは、テストですから。
本当はここはもっと大きなトランジスタを使うべきでありましょう。

ここまでくれば負荷は1Ωでもショートでも同じです。
思い切って出力をショートしてみました。

電流値は125mAで変わりません。

ここまで書いてきて、4.7Ωの両端電圧を測っていなかったことに気が付きました。
で、測ってみました。

0.624Vでした。

トランジスタ2石の簡単な回路ですが、これはなかなかのものではありませんか。
ただ欠点は出力電流が電流制限値に近くなると出力電圧が0.6V近く低下してしまうことです。
これはちょっと痛いです。
もともとこの回路は安定化電源回路の入力側によく使われました。
8〜10Vの電圧を5Vに落とす回路の前段に使うのでしたら、0.6V程度の電圧降下は全く問題になりません。
しかし安定化したあとの5Vが0.6Vほども出力低下するとなると、ちょいといただけませんでしょう。

ということで。
以上をもちまして、今回の考察は終わり…となるところなのでありますが。
なかなか終らないのであります。

もう、本当に忙しいのですけれど。
考察はさらに続くのであります。

Legacy8080用オプションボードの製作[第4回]
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